介護保険事業の中でも訪問介護事業は、在宅介護の中心的な事業で、一般に立ち上げにかかる費用が少なく、
最も参入しやすい事業の一つですが、優秀なヘルパーの確保が重要です。
また、訪問介護事業所は、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業の指定も合わせてとることができますので、
高齢者だけではなく障害者の方までカバーすることが可能です。
訪問介護支援事業者の事業者指定を受けるには以下の要件をすべて満たす必要があります。
1.法人格を有すること
株式会社・合同会社、NPO法人等の法人格がない訪問介護事業者指定は受けられません。
新規ではじめる場合は会社又は法人設立がスタートになります。
また、既存の法人が訪問介護事業所を立ち上げる場合は、定款の変更が必要になることがあります。
2.以下の人員基準を満たすこと
① 管理者
訪問介護事業所ごとに常勤専従で1名配置、資格要件は特にありませんが、誰でも良いというわけではありません。
管理者は訪問介護事業所の管理を一元的に行う方ですので、介護事業に異業種進出する場合によくあることなのですが、
経験の無い人を配置することは好ましくありません。
*同一事業所でのサービス提供責任者・ヘルパーとの兼務は可能です。
② サービス提供責任者
事業所ごとに常勤専従(管理者との兼務は可能)で、「事業所の規模に応じて」1名以上配置し、
かつ、下記のいずれかの資格を有している必要があります。
(1) 介護福祉士
(2) ヘルパー1級
(3) ヘルパー2級+実務経験3年(540日)以上
(4) 介護職員基礎研修修了者
(5) 保健師
(6) 看護師
(7) 准看護師
※「事業の規模に応じて」とは、以下の条件をいずれも満たす場合に複数名配置しなければならない場合を指します。
ア.月間の延べサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く)が概ね450時間以上の場合、
450時間又はその端数を増すごとに1人以上
イ.訪問介護員等の数が10人以上の場合、10人又はその端数を増すごとに1人以上
*ア・イで計算した結果、いずれか少ない方で構いません。
③ 訪問介護員等
訪問介護事業所ごとに常勤換算方法で2.5以上配置し、下記いずれかの資格を備えている必要があります。
(1) 介護福祉士
(2) 訪問介護員養成研修1・2級いずれかの課程修了者(ヘルパー1・2級)
(3) 介護職員基礎研修修了者
(4) その他各都道府県の規定する資格・要件に該当する者(看護師・准看護師等)
※常勤換算方法とは、
当該事業所の従業者の1週間の合計勤務時間を、
常勤職員が1週間に勤務すべき 勤務時間(32時間を下回る場合は32時間で計算)で除することにより、
当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいいます。
*「常勤換算後の人数=訪問介護員の1週間の合計勤務時間÷事業所の常勤職員の1週間
なお、サービス提供責任者の勤務時間は常勤換算に算入できますが、
管理者と兼務している場合は、管理者としての時間は算入できませんので、注意してください。
3.以下の設備基準を満たすこと
① 訪問介護事業を行うためのに必要な広さの専用の区画を有すること(事務室・会議室・相談室)
*特に相談室は、利用者のプライバシーが確保できるよう個室、
又は、パーテーション等で区画を仕切る必要があります (相談室と会議室は兼用でも構いません)。
② 必要な設備及び備品を備えること
*特に手指消毒液(速乾性)を出入り口付近・手洗場においてください。
訪問介護事業者指定に必要な書類
訪問介護事業者指定申請の際に必要になる主な書類等は以下のものです。
1.指定(許可)申請書及び付表1
2.以下の添付書類
①定款又は寄付行為、履歴事項全部証明書(写し)
②従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
③管理者の経歴書
④サービス提供責任者の経歴書(ヘルパー2級なら実務経験証明書)
⑤事業所の平面図・写真
⑥運営規程
⑦苦情処理の措置の概要
⑧資産の状況
・決算書又は通帳のコピー
・事業計画及び収支予算書(事業開始から1年分)
・損害保険証の写し(新規時には申し込み書及び領収書の写し)
⑨申請する事業所の所在地以外の場所で、当該事業の一部として使用される事業所にかかる記載事項(出張所がある場合のみ)
⑩誓約書
⑪法人役員名簿
⑫加算の届出
そのほか、労働契約書の写し、資格修了証の写しなども必要です。